ヘルシンキ中央部から少し離れた場所にある家です。
秋も深まり冬の準備です。
北欧らしい小さな家ですね。
こんなに海辺を歩いていても あまり潮の香りがしないのが不思議です。
ここはマット洗い場。
公共の場なので、誰でも使えますよ。
塩水でマットを洗うの?と思うでしょ?
このような洗い場は海辺ではよく見かけるのです。外海からの対流がほとんど無いので塩分は薄く、
洗剤も環境に配慮されたものが使うのがきまりです。
家々からマットを持ち寄ってブラシで洗い、大きな脱水機にかけて絞り(もちろん手動)、干します。
織りのマットは北欧の暮らしにはなくてはならないものなので、季節ごとにここに来て洗うわけです。
日本だと大きなものも簡単に洗えるコインランドリーなどがありますが、こちらではそういったものがありません。
決して新しいものではなく、使い込んだ古いものがほとんどです。
水を吸ったマットは重く、とても一人では抱えきれないので手伝いも要りますね。
日本の暮らし方とは別のところに豊かさがあるようにも感じます。
ここは古くから社交場として、また北欧の伝統的な習慣が残っている場所だと思います。
ポールで歩行運動を補助できるので、お年寄りには良いですね。ポールをしっかり地面に押して歩くのがコツのようです。
こうすることで歩幅も大きくなり、躓き防止になりますね。日本だと杖のように思われがちですが、それとは違って
しっかりとポールを前後させているので、ちゃんとしたエクササイズになっているのだと思います。
70歳くらいの女性同士です。
ずいぶんと遠くまで歩かれたようで、帰り道でもお会いしました。
緑のベレー帽が印象的でしたので、すぐに さっきのおふたりだ!とわかりました。
年齢がすすんでも、こうやって毎日白樺林を散歩できるのってうらやましいです。
このおふたりにとってはあたりまえのような日課が、私にとってはとても贅沢な時間に思えました。
風がずいぶんと冷たいのですけれど、シベリウス公園の海沿いを散歩しました。
山のないフラットな景色と、ボコボコと岩がむき出しになっている遊歩道が続きます。
歩く自信さえあればどこまでも行けそうな気がしますが、散歩の終点はセウラサーリ博物館です。
サマーハウスやヨットハーバーもあり、夏には賑わう場所ですが、人けのないこのような風景も好きです。
秋の空に茶色くなりかけた木々が重なり、これをみているとちっとも退屈ではありません。
繋がれたヨットがずいぶん揺れていました。
穏やかそうに見えて実は風が強いのです。
首の細いマガモたちはすずしい顔で風に向かって泳いでいたけれど、
私は向かい風で首が折れそうになってしまいました。
北欧を訪ねる時の楽しみのひとつに、カフェめぐりとそこに住む人々との出会いがあります。
お天気が変わりやすいので、風が冷たく感じたり、急な雨やどりにはカフェでひと休みすることも多いのです。
派手な飾りや気のきいた音楽があるわけではないですが、ゆったりした空間があります。
市場では、編み物をしながらお店を開いている人もいます。
ドイリーや手袋など。
ふむふむ こんなふうに編んでいくのね、と見ているうちにすらすらと編み上がりますよ。
日本で見ると妙に気恥しくなる風景も ここではなぜかジンときます。
田舎生まれ田舎育ちの私には、なんだかとても懐かしく、昔むかし 母親が私にカーディガンを編んでくれたのを思い出します。
カフェにしても街の通りにしても フィンランドのこの隙間かげんがなんとも心地よいのです。
ますます興味が深くなります。
こちらは Tutti Fruttiの ぶどう柄のジャムポット。
このシリーズは1960?1965年のものだそうです。
この他には プラムやりんご柄もあります。
フィンランドのヴィンテージショップに並ぶ陶磁器の裏には
ほとんどのものにARABIAという文字が入っています。
このロゴは作られた年代によってさまざまな形があります。
ARABIAのヴィンテージが日本人に好まれるのは、
日本の生活スタイルに自然に馴染むからだと思います。
それはぽってりとしたどこか懐かしいモダンな形であったり、色彩であったり。
よそゆきの気取ったものだと、浮いた存在になってしまうけれど、自然と普段の食卓にと合うのですね。
また気に入ったものを 手入れしながら使う気持ちも、実は日本人が大切に考えている習慣なのかもしれません。
pomona と呼ばれるジャムポット。
1965~1975年に作られたのだそうです。ヘルシンキのアンティークショップで見つけました。
40年前にこんなに素晴らしいデザインと色彩の陶磁器があるなんて。
一般的にヴィンテージと呼ばれるものは 古臭くて民芸風な骨董品を想像してしまうけれど、
ヘルシンキのヴィンテージはそういう古臭さを全く感じないところがいい。
温かく心がほっとするようなジャムポットが朝の食卓に出ていると とてもうれしい。
おめあてのもの ありました!
サウナで使うヴィヒタです。
これは白樺の枝を束にしたもので、サウナにはかかせません。
サウナ好きのフィンランド、白樺のヴィヒタを使って身体を叩く習慣はずっと昔からあり、
白樺の香りを楽しみながら、叩くことによって血行をよくします。
またサウナ内の熱気をかき回すことにより、悪魔を追い払って幸福を願うという意味も込められているとか。
どちらにしても、寒さが厳しい国では、この身体の芯からあたたまるサウナは楽しみのひとつです。
公衆のサウナでは葉っぱが散るので使えませんが、自宅やまた湖畔のサウナでは使用できますよ。
ひとつ くださいな!
Kiitos キートス!
こちらは庶民的なマーケット広場。
八百屋さんや魚屋さん、花やカゴも売っています。
野菜はとても豊富で、どこか近くの国から輸入されてくるのでしょうか。
国内産かな?と思われる じゃがいもやキノコ、りんごは種類もたくさんあります。
じゃがいもはねっとりとしていて、マッシュポテト向きの食感です。
りんごは小振りで、青いものがほとんど。
すっぱくてシャキシャキしています。
大きなカボチャ。とても心惹かれましたけど、こんなのひとりで食べきれません。
地元のおじさんやおばさんに混じってうろうろ散歩。
疲れたらコーヒー屋台でひと休みがいいですよ。
どうしても欲しかったお目当てのもの、見つかりました。
これはまたあとで。
大きな木の下のベンチで、読書するのはいいですね。
哲学本とか読んでるのかしら、ちょっと知的なスタイル。
首の巻き物もおしゃれだわ。
いったいどこからがキャンパスなのか・・・わからないくらい敷地が広く、緑豊かな木立の向こうに霊園もあります。
私もちょっとベンチに座りましょう。
うん、気持ちいい。